イソップ物語でおなじみの「アリとキリギリス」
のお話は歪曲化されているってご存知でしたか?
寒い冬にアリがキリギリスを助ける結末になっているのは、
日本とほかわずかの国だけなんですって。
世界の「アリとキリギリス」のスタンダード・バージョンは、
アリはキリギリスに食べ物を与えることはしなかったのです。
飢え死にしたキリギリスをアリが食べてしまうという結末なんですよ。
少々残酷ですが、日本版よりは生物学的に正しいよね。
弱肉強食や食物連鎖などの真理が盛りこまれているし。
この世界標準版の話をアリの立場から単純化すると、
頑張れば最後には「うまいごちそうが待っている」ということになる。
肉食の文化圏の人々にとっては、おいしい話となっています。
一方、キリギリスの立場から得られる教訓はというと、
「わが身はちゃんとわが身で守りなさい」ということになります。
個人主義の国民の視点が感じられますね。
これは、日本人にとってピンとこない話だったのでしょうね。
だって、農耕民族で集団生活になじんだお国柄だもの。
でも、本当はこの話も歪曲化されているらしくて、
イソップの元の話、オリジナル版は「アリとセミ」だったそうで・・・
オリジナル版の「アリとセミ」の話では、
冬に物乞いにきたセミをアリは冷たくあしらう。
「あんたは、夏に歌っていたんだから冬は踊っていなさい」と。
でも、この話も嘘っぽいような・・・。
だって、セミの成虫が冬まで長生きすることはないでしょう?
イエスが言った「私は憐れみを望み、犠牲を望まない」
からすると日本での「アリとキリギリス」のほうがマッチするね。
聖書の歪曲化も、人間らしい歪曲化だと思えばステキだけど
「聖書全体が神の言葉だから正しい」だけで鵜呑みして読むと
危ない書物になってしまう。【取り扱い要注意】