ゲストブック過去ログ:#506

昼寝するぶた

ここでは、昼寝するぶた掲示板の過去ログを並べています。

No.506 投稿者: 投稿日:2003/10/03 11:04 元2世経験者 ♀ 不活発で棄教でーす 壊れてたけど山は越えた O型 20代中盤 宗教はもうこりごりな人
私は長い間収容所の中にいた。檻の中から街(外)の風景を眺めて評論し
たり、美しさを感じて指をくわえて苛々して自虐行為に走ったり、犯罪を
見て同情して涙を流したりしていた。

檻の中の棚にある花瓶には、いつも一輪の花があった。私はその花を見な
がら色々なことを想像していた。宇宙とは何だろう、友情とは何だろう、
平和とは何だろう、自分とは、そして愛とはなんだろうという問答を繰り
広げていた。孤独なのは一輪の花は私にしか見えないからだ。私はこの一
輪の花から真理を発見し、その音信を広げなければいけないと思っていた。

ある日、彼氏が私の柵の前を通りかかった。彼氏は、私に興味を持ちはじ
めた。そして、私達は檻の外と中で毎日話すようになった。彼は、檻の外
はいかに楽しいか、檻の外にはたくさんの花が咲いていることを、私に話
してくれた。私は、物語を聞くように、問答の答えを聞くかのようにその
話にじっと耳を傾けた。

ある日、彼氏に薦められて一緒に外に出てみることにした。私は、収容所
の中から見る風景と、いざ外に自分が入ってみた時の光景が全く違う事に
とまどいを感じて、苛立ちを覚え彼氏に罵声を浴びせ体中を殴りそして引
っ掻いた。

そんな時は、「ごめんね」と言って、一緒に収容所の中に戻って、一輪の
花を眺めて私の話を「そうだね」と言って聞いてくれた。

このやりとりが何回も何回も繰り返された。私は、自分の意志で収容所か
ら脱出することを決意するまでに至った。

今でも、行ったり来たりしているけれど、彼氏が私の手をぎゅっと握って
くれている。私は、一日も早く収容所の生活が過去のものになる事を渇望
している。

私が、一輪の花を見て空想していた理想像が実現されようとしている。
七色の光を放ちながら、眩しくて目を瞑ってしまう輝きと大きな大なうね
りと共に、人の愛とはこういうものか、人の手とはこんなに雄大なものだ
ったのかと全身を震わせながら、今外に出ようとしている。

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