ゲストブック過去ログ:#629

昼寝するぶた

ここでは、昼寝するぶた掲示板の過去ログを並べています。

No.629 「馬と話す男」(モンティ・ロバーツ著) 投稿者:Samsung 投稿日:2004/01/10 03:25   かなり壊れてる   
 ロデオ競技場に生まれたモンティは、父親が馬を「仕込む」た
めにロープや鉄鎖で打ち据えるのが、冷酷非情に思えた。
 モンティは、「脅える動物」である馬たちを、逆らうと、鞭や
ロープで「懲らしめ」て、恐怖を与えて調教する伝統的な手法
に、疑問を抱いた。
 「懲らしめ」は、馬たちを脅えさせるか、何時間でも反抗させ
ることに、彼は、気付いていた。


 モンティは、自身が、父親から鞭打たれた体験から、
 人間が、馬を、恐怖から生じた関係で従わせ、「仕込む」(ブ
レイク)方法では、馬に、いやいやながらの服従と、ぬぐい去れない恐怖を馬に押
し付けるだけで、馬は、人間に対して憤ることはあっても、人間に対して尊敬や
忠誠の心を抱かないことを、悟った。
 そして、モンティは、人間が、馬に愛情を注ぎ、大切に育むこ
とで、人間を「信頼」して、喜んで、自発的に従って来るよう
「馴らす」(スタート)方法を、模索した。


 モンティは、群れのリーダーの牝馬が、悪さをする子馬をしつ
けている行動を観察し、牝馬と子馬の間に、「馬語」(エクウ
ス)により、意思の疎通が交わされていることを、発見した。
「馬語」とは、音声により意思を伝達するのでなく、馬が、「身
体言語」(ボディ・ランゲージ)、つまり、身振りや身構え、姿
勢、移動の方向、耳の動き、アイ・コンタクト、尾の振り方、な
どで、自分の意思を伝えていることを、意味する。
 なお、馬の「いななき」には、怒りを表明する甲高い「いなな
き」や、仲間の注意を引こうとする「いななき」などがある。
 「馬語」は、鹿にも共通して、通用した。


 モンティは、馬には、指で、肩や横腹を押すと、体を引くので
はなく、体重をあずけるかのように、体で指を押し返して来る習
性があることを、発見した。
 彼は、また、牝馬が、子馬を群れから追い払うと、子馬は本能
で、群れに戻りたくなる習性があることをに、気付いた。
 彼は、これらの習性を「前進と後退」と名付け、馬の調教の際
に、馬の心理を操るために、応用した(日本の、「押してもダメ
なら、引いて見ろ」と言う諺を思い出します)。

 そして、モンティは、「馬語」を修得し、馬とこころを通わせ
ることで、鞭などを使わずに、調教することを、試みた。
 まず、始めて出会った馬に、彼は、肩をいからせ、馬の目を直
視し、「馬語」で、「私から、離れろ。逃げろ。」と、話しかけ
る。
 そうすると、馬は、彼から逃げて離れるが、彼の方に耳を立て
て、注目する。
 彼が、「馬と親しくなりたい」という気持ちを示すと、群れか
ら追い払われた馬が、群れに戻ろうとする習性で、馬は、鼻先を
地面に下げて、口を舐めたり噛んだりして、「もう、逃げるのは
いやになったから、戻して。」と、意思表示するようになる。
 そこで、彼が、馬に対して、自分の脇腹を見せて、安全な存在
であることを示し、「戻ってこい。仲間になろう。」と、馬を受
け入れようとすると、馬は、彼を信頼して近づいて来るので、馬
の眉間を撫でて、馬と「同志の契り」を結ぶ。
 このようにして、彼は、鞭などを使用しないで、馬の調教に成
功したが、彼の方法は、伝統的な調教法を用いて来た、父親や同
僚からは、罵詈雑言で、批判されてしまった。

  
 馬は、「脅える動物」で、人間は、「闘う動物」で、他の動物
を支配しようとする。
 馬は、近寄る人間に対して、
 「あなたのそばにいたくないんです。あなたから逃げたいんで
す。ここにいると危険だと感じるんです。怖いんですよ。」
 と、感じる。


 モンティは、馬に対して、暴力などの恐怖によって強制的に服
従させ「仕込む」(ブレイク)、伝統的な調教法を否定し、
 馬に、思いやりを持って、やさしく接し、「馴らす」(スター
ト)方法を、選択した。
 彼は、馬が、あなたと共にいることを選び、
 馬が、あなたと、「同志の契り」を結ぶには、
 馬を、鞭で打ったり、蹴ったり、強引に引っ張って、苦痛を与
えないことが、大切なことを、強調する。


 モンティは、自分の、「馴らす」(スタート)調教法を、エリ
ザベス女王の前で、披露した。
 また、彼は、フォルクスワーゲン社などの社員に、自分の調教
法を披露し、企業の硬直した階級制度や権威主義を拝して、部下
の自主性を重んじることが、企業の営業成績を回復させるのに必
要なことを、示した。
 つまり、「鞭ではなく、人参を使え」ということ。
 彼は、情緒障害などの問題を抱えた、47人の子供たちを、養
子として引き取って、育てている。
 彼は、その子供たちを、馬に接するように、思いやりを持って
接し、癒し、再生させている。
 彼の育児法は、極めて単純で、甘やかすことも、どなりつける
こともせず、子供が何か良いことをしたら、ふんだんに誉め言葉
を与え、過ちを犯した時には、決してその過ちを非難しない。
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