ゲストブック過去ログ:#749

昼寝するぶた

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No.749 「日本型うつ病社会の構造」 投稿者:Q9 投稿日:2004/03/08 21:42 元2世姉妹 不活発で棄教でーす 完全に壊れてる A型 40代 神はいない無宗教な人
毎日新聞の社説に、うつ病が取り上げられていました。
根本的に理解していないなあ、とつくづく思いました。

うつ病は特別な精神病ではなく、だれでも罹る可能性があるので、「排除するのではなく、まず偏見をなくそう」という。
今どきうつ病を忌まわしい病と見る向きがあるのでしょうか。むしろもう日常的、近辺的な病気として見なされているのではないでしょうか。うつ病の人が排除されるのは、忌まわしい病だからではなく、その原因が自分たちのライフスタイル、主義、信条、そして特殊なカルト的団体内の雰囲気にあるのを十分知っており、その上で人の心を追い込むその種の体質をなお維持させようとするので、うつをひき起こした人を「敗残者」として排除するのではないでしょうか。

記事でも「倒産やリストラ、急速な技術革新、複雑な人間関係などを背景に、うつ病が増えている」というように人が暮らしている環境の影響を原因としてあげています。それもたしかにそうでしょう。でも実際には最近の急激な変化というのはきっかけとなった最後の一撃に過ぎず、もっと以前から人間を追い込む原因があったに違いありません。すでに昭和32年には自閉症の報告がちらほらと現れています。親による女子の実子への性的虐待も昭和30年代初期にすでに報告されています。うつ病をひき起こす体質はずっと以前より存在してきたのです。

「しかし、うつ病の増加に過剰反応する必要はない。精神科診療所が増え、以前と比べて精神科にかかることに抵抗感が少しずつ薄れてきているという要因もあるからだ。企業などでは産業医を中心に、社員の「心の健康」に配慮する体制が整いつつある」。

治療体制はどんどん整ってきているので「過剰反応する必要は無い」というのは、うつをひき起こす原因が日本人の生き方、社会の枠組みそのものにあるということはあくまで問題外であり、とにかく経済成長の追求を第一にするという方針はそのままにして人間の方に日本的なるものへの適応を求めようとしているのでしょう。まっとうな人間であるには会社人でなければならず、あるいは名声を博する立場か富を手中に収めるかのみが成功であるという暗黙のルールは大前提のままです。

個人が自分に合った生き方をしようとしても、容認されるライフスタイルは非常に限られているので、その枠から外れた生き方だとちゃらんぽらんとしか受け止められません。フリーターがいまだに未熟視されていますが、アメリカなどでは卒業した学生の就業率は日本より低いそうです(「日本型うつ病社会の構造」より)。アメリカ人のアイデンティティにはバラエティがあり、必ずしも会社の重役であることだけではなく、むしろ会社での役割よりは家庭、地域住民、社外活動での自分をもってアイデンティティとする傾向はいまだに強いそうです。だから生き方に幅があります。個性を生かしやすいようです。

今、うつ病社会の日本に必要なのは、そういう価値観の変換だと言うことはみんなほんとうは知っているのではないでしょうか。だからいままでの価値観とはことなる生き方を探す人々がエホバの証人のような連中のうわべの宣伝文句に惹かれるのでしょう。

「うつ病は誰でもかかる可能性がある。同時に、適切な治療を続けることで、症状を安定させ治癒することができる。大事なことは、家族や職場の仲間、上司がうつ病のサインに気づくこと、そして早く精神科で診てもらうことだ。かかりつけ医と産業医、精神科医の連携強化も欠かせない」

ここも勘違いだと思います。家族や職場の仲間、上司がうつ病のサインなんかにぜんぜん気づかない希薄な人間関係であるからこそ、うつ病や自殺などがはびこるのです。家族が成員の感情に敏感に気遣っていれば、あたりまえの気遣い、関心があればだれもうつに陥らないでしょう。偏狭な信念、信条に凝り固まり、画一的に枠に押し込められることを「成長」と見なすような体質が、人間主義‐真の個人主義‐ではなく体制主義、個人に合った環境で個人が生きる自由ではなく、ただ一式の体制、主義に迎合することを要求する体質がある限り、たとえ家族の成員であっても、うつ病のサインに気づいたりはしないでしょう。むしろそれは未熟さの表れとみなされ、もっと訓練を課されるのです。こういうのはエホバの証人という体質の中で経験してきたことから類推したからです。

「その第一歩として、まず偏見をなくすことから始めてみよう」。
いいえ、いまどきうつ病を忌まわしい目で見たりする偏見などありません。しかし、人間たるものこうでなければならない、という偏狭な信念はいまだに生きています。そのような偏狭な信念が人間の心を神経症(ノイローゼ、うつ病の病前性格)に追い込むのです。そういう意味での偏見をなくすことは「第一歩」ではなく、それが全てなのです。そういう偏狭な信念、信条をなくせれば、きっと深刻なうつ病社会そのものをなくせるでしょう。

無学なわたしですが、今日の毎日新聞の表面的な論調に強い反感を覚えましたので恥をも顧みず書き込みしました。わたしが念頭においているのは、エホバの証人の社会にそっくりそのまま通ずる「日本型うつ病社会の構造」です。

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