【詭弁論理学】
ものみの塔の何月号でもいいんですが、なにげに手に取って、適当なページをぱっと開いて、すらすら内容を読めますか?
もしすらすら読めるならあなたは絶対に変です。
でも、ちゃんと読んでも、斜めに読んでも、特に何も変だと思わないからこそ、ものみの塔をすらすら読めるわけでしょ。
そういう素直な性格の人は「詭弁」の基礎を知っておいた方がいいと思いますよ。
JWの主張を聞いて首を傾げる人は多いですが、彼らはちゃんと筋が通っていると思っています。しかし、その間違いを判断するのは聞いている人達1人1人であって、JWの主張のジャッジをする公的な機関はどこにもありません。
世の中にはいろいろな意見や主張があります。それを他人に説明するときに、その意見や主張を相手が全部丸飲みすれば別ですが、そうではないときには議論が始まります。
そして、世の中にはいろいろな種類の議論ありますが、その中の一つで有名なのがディベートです
議論=ディベートと思っている人がいますが、全然違います。それはものすごーい勘違いです。太陽が西から昇ってくるくらい全然違います。
ディベートと世の中の一般の議論をごっちゃにしてはいけません。ディベートにはちゃんとした決められたルールがあり、ジャッジにもちゃんとしたルールがあります。
ディベートとは、ある一つの論題について肯定側と否定側に分かれ、一定のルールにしたがって議論が行われ、最後に審判によって勝敗が決まる知的格闘技です。
【ディベートのルールの例】
非礼行為は慎まなければならない
主張をジャッジに伝えなければならない
時間を守らなければならない
主張には根拠がなければならない
相手の主張に反論しなければならない
反論は主張の直後になされなければならない
証拠資料は第三者が入手可能なこと
証拠資料は要件を満たすこと
証拠を捏造してはならない
相手の議論を意図的に曲解してはならない
反駁で新しい議論を持ち出してはならない
プランは論題を充当していること
反対尋問の内容は反駁で反映すること
メリット/デメリットには発生過程と重要性を述べること
否定側にはアピールする権利がある【ジャッジの基本的心得】
論題への偏見を捨てる。
ディベーターへの個人的感情を捨てる。
プレゼンテーション能力を判定の根拠に持ち込まない。
判定しようとする試合の内容だけを根拠とする。
ルール違反に厳しく対処する。情報ソース:Debate Open Space
他人と議論していて、↑ここまで考えて議論している人がいると思います?まずいませんよね。普通の人はそんな事を何も意識しないで議論しています。仮に自分がディベートの訓練を受けていたとしても、議論の相手はそんなルールを知らない場合がほとんどだと思います。
世の中の一般の議論にはルールもないしジャッジもいません。いるのは議論を聞く人達だけです。普通の人が考えているのは、議論の主張に筋が通っているか? 話に無理はないか? 話のすり替えはないか? 嘘、大げさ、まぎらわしい話ではないのか? JAROって何じゃろ〜、と言う程度の判断でしょう。
仮にディベートのつもりだった人が議論に負けてしまい、「あんたの議論のやりかたは議論のルール違反だ!」と言っても、そんなのは通用しません。なぜなら、見ている人達はディベートの基本的なルールを知りませんから。そういうセリフは「負け犬の遠吠え」としか思いません。
ですから、日本においては議論というものはルール無しが普通であって、仮にルールがあったとしても、それはなんとなく出来上がったお互いの暗黙の了解事項でしかないので、ディベートと言われるものは、いろいろな議論の中でのひとつの理想の型にしか過ぎないと思っておいたほうがいいです。
深夜のテレビ番組、「朝まで生テレビ」での議論を見てストレスが溜まる人も多いと思いますが、あれが世の中の議論の典型です。言いたい人が言いたいことを言うなんでもアリの世界です。そして、政治家の主張もそうですし、裁判における弁護士の主張もそうです。
さらにインターネットの掲示板でも詭弁は使われます。これは巨大匿名掲示板「2ちゃんねる」の"ガイドライン板"で掲示板参加者に注意を呼びかけている「詭弁の特徴15条」です。
情報ソース:2ちゃんねる ガイドライン板 「詭弁のガイドライン」
「詭弁の特徴15条」
真っ当な意見と見せかけ、実は詭弁で論点をはぐらかす輩が多々おります。 皆様も以下の「詭弁の特徴15条」を覚え、そういう輩を排除しましょう。
例:「犬ははたして哺乳類か」という議論をしている場合、あなたが「犬は哺乳類としての条件を満たしている」と言ったのに対して否定論者が…
事実に対して仮定を持ち出す
「犬は子供を産むが、もし卵を生む犬がいたらどうだろうか?」
ごくまれな反例をとりあげる
「だが、時として尻尾が2本ある犬が生まれることもある」
自分に有利な将来像を予想する
「何年か後、犬に羽が生えないという保証は誰にもできない」
主観で決め付ける
「犬自身が哺乳類であることを望むわけがない」
資料を示さず自論が支持されていると思わせる
「世界では、犬は哺乳類ではないという見方が一般的だ」
一見関係ありそうで関係ない話を始める
「ところで、カモノハシが卵を産むのは知っているか?」
陰謀であると力説する
「それは、犬を哺乳類と認めると都合の良いアメリカが画策した陰謀だ」
知能障害を起こす
「何、犬ごときにマジになってやんの、バーカバーカ」
自分の見解を述べずに人格批判をする
「犬が哺乳類なんて言う奴は、社会に出てない証拠。現実をみてみろよ」
ありえない解決策を図る
「結局、犬が卵を産めるようになれば良いって事だよね」
レッテル貼りをする
「犬が哺乳類だなんて過去の概念にしがみつく右翼はイタイね」
決着した話を経緯を無視して蒸し返す
「ところで、犬がどうやったら哺乳類の条件をみたすんだ?」
勝利宣言をする
「犬が哺乳類だという論はすでに何年も前に論破されてる事なのだが」
細かい部分のミスを指摘し相手を無知と認識させる
「犬って言っても大型犬から小型犬までいる。もっと勉強しろよ」
新しい概念が全て正しいのだとミスリードする
「犬が哺乳類ではないと認めない限り生物学に進歩はない」
例示の部分を省略して、もう一度まとめます。
「詭弁の特徴15条」
なんでもありの議論の世界では、正論の中に詭弁を入れて聞いている人を煙に巻きますので、煙に巻かれた方が負けです。
世の中の議論に審判はいません。判断するのは議論を聞いている人達1人1人の判断だけです。ですから、いかに聞いている人達に自分の主張を納得してもらうかが議論に勝つ鍵になります。
そういう、ルール無しの議論の場で、どうすれば議論に勝てるかという議論術が大昔から発展してきました。
有名なところではアリストテレスがいます。( Aristoteles 前384-前322 )彼は『弁論術』『命題論』『カテゴリー論』『分析論前書』『分析論後書』『詭弁論駁論』などの議論術の本を書きました。
今から2300年以上前の紀元前の時代からこういう議論術があったわけですが、その著作の中に『詭弁論駁論』というのがあります。
これは議論における詭弁のテクニックを書いた本ですが、議論の技術の中には、紀元前からあった「詭弁」という「騙しのテクニック」もあるんだとちゃんと理解しておかないと、あなたはあっけなく相手に騙されてしまいますよ。
■【特殊論法】誤謬論〈虚偽論〉
矛盾する前提からは、どんな結論でも引き出すことができる。あるいは自分勝手に誤まれる前提を作って、その前提の上に論を積み上げていく詭弁論法がある。誤謬論〈虚偽論〉ともいう。誤った推論の誤りの性格を分類しつつ論じるもので、アリストテレスの『詭弁論駁論』が西欧に知られるようになった12世紀後半以降、西欧の論理学体系のなかで位置を占めるようになり、さらに内容の拡充が行われて近代に至った。
情報ソース:左往来人生学院
詭弁にはいくつかのテクニックがありますが、その種類を分けると以下のようになります。
循環論、歪曲三段論法、詭弁術、強弁術、押し問答、どっちもどっちの喧嘩両成敗論法、二元論(二分法)、相殺術、転嫁帳消し術、トリック術、過小・過大術、混乱術、長文饒舌辟易術、本音と建前差し替え術本音建前論、婉曲焦点ずらし論法、権威利用術、玉虫色話法、早とちり型、一点こだわり型、馬耳東風型、もてあそび型、あてこすり論法、ゴシップ貶め論法、説教強盗法
これを全部知るのはものすごく大変ですが、この「詭弁術」をやさしく解説した本があります。それが「詭弁論理学」という本です。
「詭弁論理学」野崎昭弘著
中公新書 ISBN4-12-100448-5 価格¥660
この本は詭弁を使って議論に勝つ技術を学習する本ではありません。議論の中で使われる詭弁を冷静に見分けるための詭弁の入門書です。詭弁とは何か? 詭弁にはどういう種類があって、具体的にどういう話の展開をしていくのかをやさしく教えてくれます。
でも、この本はJWのことなんか一切考慮して書いていません。それもそのはず、この本の初版は昭和51年です。書いたのは、当時、山梨大学工学部、電子計算学科の教授で、書いた目的は、議論の術を身につけるのではなく、論理学の知識を教えるわけでもなく、議論の中の詭弁を、知的・論理的に観察してパズルのように楽しんでもらって、論理学になじみのない人が論理学になじむための入門書です。
ですから、この本1冊で詭弁のことを全部知ることなんか出来ませんが、この本をきっかけにして、世の中には詭弁というものがあり、詭弁とはどういうやり方で行われるのかを知ることができます。
例えば、ある客が一万ドルの指輪を買った。しかし客は翌日もう一度店に来て、2万ドルの指輪と取り替えた。そしてそのまま帰ろうとしたので客を呼び止めると、客は答えて曰く 「昨日、一万ドル払った。そして今、一万ドルの指輪を渡した。併せて2万ドルだ、何も問題はない。」さて、あなたはこの客の詭弁にどう答えるか? そういう論理のあそびの本です。
JWは詭弁のテクニックをいっぱい使っていますが、これを読むと、JWの言っている意味はわかるけど、なんか変だな、どうも変だなって思っていた変が、何が変なのか、どう変なのかがわかる「きっかけ」になると思います。
「詭弁論理学」野崎昭弘著
目次より,
T 議論の種々相
U 強弁術
強弁術の誕生
小児型強弁
二分法
相殺法
強弁術の総括
V 詭弁術
詭弁術の誕生
強弁との境
あてにならない話
論点のすりかえ
主張の言いかえ
消去法
ドミノ理論
詭弁術の総括
W 論理のあそび
やさしいパズル
説得ということ
上級パズル
四十人の貴族とその従者
理髪師のパラドックス
自己矛盾を利用したパラドックス
死刑囚のパラドックス
付録 鏡をめぐっての会話
詭弁論理学で説明している詭弁・強弁をJW的に解説するとこうなります。
【詭弁論理学から見たJWで使われている詭弁・強弁】
■強弁術とはなにか?
無理を通して道理をひっこまさせる作戦
★小児型強弁:自分が言いたいことを言いつのる
小児型強弁の厄介なところは「本人がそのつもりでない」というまさにその点である。極端ないい方をすれば、「妥協したくない」から妥協しないのではなく、そもそも「妥協ということを知らない」のである。
★小児病の原因
★そのまた原因
例1:輸血拒否
医師が手術に際して輸血する可能性を説明する→信仰上の理由により断固として輸血を拒否→そして医師に代替治療の要求をする→医師がそれは無理だと言う→JWの資料を見せて代替治療が出来るはずだと言う→医師が資料を見て、「この資料はおかしい!」と言って資料の問題点を説明する→『この藪医者ぁ!あんたは最新の医学知識がないからこの資料の内容がわからないんだ!』と思うけど、そんなことは言わないでごねる→さんざんごねて医師に手術を拒否される→他の病院へ行く→診察を受ける→手術をする必要があることがわかる→最初に戻る
例2:子育て
例3:JWをやめた後
1979年、ソ連のアフガニスタン侵攻
「北の王と南の王の争いが始まったわ!これがハルマゲドンの始まりよ!早く組織に戻ってきなさい!」
1991年、湾岸戦争勃発
「これはハルマゲドンの始まりよ!早く組織に戻ってきなさい!」
1995年、阪神淡路大震災
「これはハルマゲドンの始まりよ!早く組織に戻ってきなさい!」
1999年7月、ノストラダムスの大予言が成就すると言われていた頃
「この世の21世紀なんか絶対来ないんだからね!それまでに間違いなくハルマゲドンが来るんだからね!早く組織に戻ってきなさい!」
2001年、米国同時多発テロ
「これはハルマゲドンの始まりよ!早く組織に戻ってきなさい!」
★二分法:人々の考え方などを、ある原理的な基準でふたつに分けてしまう考え方を、二分法という。
このように分けるのは、話を簡単にするためには便利であるが、善と悪の谷間にさまよう凡人たちを十把ひとからげにして悪人扱いすると、いろいろと問題が出てくる。
例:エホバ対サタンと言うように、前提としていいものと悪いものとに分け、次に、「あなたは神に従いますか? それともサタンに従いますか?」とか、「あなたは楽園に行きたいですか? それともハルマゲドンで滅ぼされたいですか?」などと言って2者択一の結論を迫る。
注:この時に、「私はイエス・キリストに従う」と言った場合は、その人は間違いなくハルマゲドンで滅ぼされることになっている。ということは2分法で分ければイエスはサタンになるのだが、その場合は小児型強弁でイエスはサタンではないと言い張る。そして、もし論破されそうになったら「あなたは背教者だから私たちは話し合いません」と言って議論をうち切る。
★相殺法:相手のいうことを肯定しつつ、重箱の隅をつつくようなことを言いだして、相手の言い分を帳消しにしてしまおうという作戦。
ある主張の中にひとつでも矛盾点があると、それを徹底的に突いて、主張全体に信頼性がないと思わせる。または、ある主張をする人が過去に犯罪や性的問題をおこしていたら、それを徹底的に突いて、その主張には信頼性がないと思わせる。
例:キリスト教にはマザーテレサもいるが変質者の牧師,神父もいる。しかしJWにはそのような事はない。現存する宗教の中でこんなに素晴らしい宗教は他にはない。
*** 目95 4/22 6 わたしたちは終わりの日にいるのですか ***
『敬虔な専心という形を取りながらその力において実質のない者となる』―
テモテ第二 3:5。 聖書の真理には人生を変える力があります。(エフェソス 4:22-24)しかし,極めて罪深い行為が宗教を隠れみのにして行なわれる場合もあります。悲劇の一例は,僧職者による児童の性的虐待です。ニューヨーク・タイムズ紙によると,米国のある法律家は「司祭にいたずらされたと言う依頼人のために,27州で係争中の訴訟200件を扱っていると語って」います。実際,これらの僧職者が示している敬虔な専心という形,つまり見せかけはどれも偽善にすぎないことが,彼らの邪悪な業によって暴露されています。
(目ざめよ 1995 4/22 6頁)
*** 塔97 5/1 6-7 不完全な世における信頼性 ***
アイルランドの一修道会の長を最近辞任した人の場合はこの点をよく例証しています。インディペンデント紙によると,この人は「小児愛者である司祭の児童虐待を知った後かなりの間,引きつづき子供相手の仕事に従事させていた」ことを認めました。この記事はその虐待が24年間にも及んだことを説明しました。司祭は4年の投獄になりましたが,この司祭の監督者が道義上の忠誠を欠いて処置を取らなかったことによって,その年月の間に子供たちが負わされた苦しみはどれほどだったでしょう。
(ものみの塔 1997 5/1 6-7頁)
但し、JW組織が児童性的虐待信者の存在を隠していることは絶対に言わない。
情報ソース:アメリカNBC放送はエホバの証人の児童性的虐待者の問題を放映
2002年5月28日夜10時から放映された"Dateline NBC"で、子供に性的虐待をした長老が、警察に通報もされなければ排斥もされず、家から家への伝道に歩いている姿をNBCのカメラが捕らえた場面は、ものみの塔の内部の犯罪者の隠蔽の実態を迫力を持って訴え、説得力のある内容となっています。
もし相手がJWの事情通で、言うことにいちいち反論した場合は、「あなたは反対者だから私たちは話し合いません」と言って議論をうち切る。
★強弁術の要諦★
■詭弁術とはなにか?
論点をすり替えて相手の追求をはぐらかす
★強弁との境
「悪魔か否か」の二分法を、有無をいわさず押しつけるのが強弁だとすれば、「何となくその気にさせる」のが詭弁である。
詭弁術の二分法:豊富な実例の引用と大学者の学説の引用による二分法で、なんとなくその気にさせる。
例:JWの出版物でよく使われる、聞いたことがない学者の学説からの引用。
おなじみのアメリカーナ百科事典からの引用。どう考えても結論が先に決まっていて、それにあわせて都合のいい例を持ってきたとしか思えない実例や引用。
詭弁術の相殺法:学問的にも現実性にも異論,反論のある説を「…とも考えられます」「…かもしれません」「…違いありません」などと次から次に説を展開して、ひとつやふたつ反駁されても、次から次に新説を並べて、ウヤムヤにしてしまう作戦。
例:JWの出版物でよく使われる一般的表現。
★あてにならない話:つかみどころのない言葉や、うがった言葉を使い説明する
例:JWの出版物で使われている、英語からの直訳ふうの変な日本語
これはどういう意味でしょうか・・・・
ここでパウロの語っている事柄の趣旨はこうです・・・・
それはちょうど、神の義についてパウロが述べた事柄を、このように言い換えるのと同じだと言えるでしょう。
会衆内において
「もうすぐハルマゲドンが…」「頑張らないとハルマゲドンで滅ぼされる…」「頑張ればきっと楽園に行けます」「楽園に行けば永遠の生命がもらえる…」
★論点のすりかえ
例:JWの伝道者養成学校である奉仕会での「割り当て」の導入部分より・・・
「楽園が来るとどうして断言できるのですか?」と訪ねる人に対して「あなたは明日は朝が来るだろうかと疑った事がありますか?」と質問する。もちろんそんなことを疑って生活する人などいるはずがないので、「疑っても必ず朝が来るのと同じで楽園は必ず来るんです。歴史を調べると今まで神の約束が果たされなかった事は一度も無い事がわかるのです」とたたみかける。その際、例としてキュロスがバビロンを一晩で征服するという預言が成就した事を説明する。
但し、JWのハルマゲドン予言が過去にすべてはずれていることは絶対に言わない。
★主張の言いかえ
例:再訪問した時に、JWと研究するつもりはないと断る人に使う時のセリフ
「お気持ちはよくわかります」と同意して「見よ」のインドのガンジーの写真を見せ、ガンジーがインド駐在の英国総督に「あなたの国とわたしの国が、この山上の垂訓の中でキリストが述べた教えについて意見の一致を見るならば、わたしたちの二国の問題のみならず全世界の問題をも解決することになるでしょう」と言った、という部分を読む。(または、声に出して読んでもらう)
そして「ガンジーはキリスト教ではなかったけど、広い心をもっていたので聖書の価値を認めていました。あなたも広い心をお持ちなら調べるだけでも調べてみませんか?」と、JWの研究生になるべきではないかと誘い説得する。
解説:非暴力主義の提唱者でインド建国の父と呼ばれる、マハトマ・ガンジー(1869〜1948)が、インド駐在英国総督に対して、イギリスの植民地支配からの完全なる自治を求める目的で使ったこの言葉の背景事情を全然知らない人には説得力ある再訪問テクニック。
★消去法
例:「現存する宗教の中でこんなに素晴らしい宗教は他にはありません」と主張するが、その時に、どういう宗教団体をいくつ経験した上での判断なのかは言わない。それを指摘すると、「じゃぁ、他に素晴らしい宗教があるのなら教えてくれ」と開き直る。その返事にためらうと、「やっぱりJWが一番でしょ」と言い、返事をすると、その宗教団体の欠点を言って「やっぱりJWが一番でしょ」と言う。
★ドミノ理論:ひとつが倒れれば全部が倒れる理屈
例:JWでは、よい研究生になって、よい伝道者になり、よい兄弟姉妹になって、よい開拓者となり、・・・人々に神の真理を述べ伝えなければなりません。そうし続けていないと、終わりの時が来たときにハルマゲドンを通過して楽園に行き、永遠の生命をもらうことが出来ません。
つまり、研究生にならないと絶対に永遠の生命はもらえませんということ。
それ以前に、永遠の生命なんて本当にあるのか?という一番大事な検証作業は?
★詭弁術の総括★
詭弁術にはいろいろな型があるから、手法や心得を簡単に要約するのは難しい。しかし基本的な対策としては、強弁術のときと同じように(あるいはそれ以上に)健全な常識、健全な判断力を養うことが大切である。 いかに力強い言葉で説得されようとも、「あなたの考え方には、ついていけません」反論はこれで充分である。
しかし、2世はそうはいかない、常に油断しないで注意深くしていないと、知らないうちに墓穴を掘る(掘られてしまう)ので要注意である。
【正しい議論のための原則】
★無理矢理説得しようとするな
無理を通そうとしたり、思いつきを口にしたりすると、かえって失言して議論がもつれることがある。また、いかに「当たり前」と思えることでも、好き嫌いや人生観が関係するようなことについては、相手の趣味や判断を尊重しなければならない。
★時間を惜しむな、ただし、相手が強弁・詭弁を弄したらすぐに議論を打ち切れ
議論は一歩一歩、お互いに一致できる点を確かめながら進めるとよい。そのように手堅く進めれば、論理のごまかしにはたいていダマされないですむ。(相手が素早くたたみかけてきたら要注意である)
意見の確認をするときは、言葉の解釈に食い違いができないように、なるべく具体的な例をあてはめて、お互いの見解を確かめあうとよい。
相手が強弁・詭弁を弄したら、もはや正しい議論は望めないので、惜しまず議論をうち切ればよい。
★結果の吟味を忘れるな
結論の現実性(実例にあてはめたときの、意義あるいは蓋然性など)弱点などをはっきり認識しておくことは、いつの場合にも重要である。
蓋然性:事象が実現されるか否か、またはその知識の確実性の度合
健全な常識(道徳的、論理的)に反する結論は、どんなに輝かしく見えようと、勇気を持って捨てなければならない。
★わからないことを恥じるな
「わからない」ことを恥ずかしがる人は、論理の飛躍や二分法の押しつけに、簡単にダマされてしまう。いつでも「わかった」ところまで戻り、議論をやりなおしてもらう心の強さを身につけておけば、詭弁などにめったにやられるものではない。
「詭弁論理学」野崎昭弘著
中公新書 ISBN4-12-100448-5 価格¥660
2002/05/25