組織に評価されることが自分の支えだった
組織に評価されなければ人には値打ちがないって、そう思わされていた
言葉じゃない、言外のメッセージがわたしたちをそのように動かしていた
わたしは自分という実体を持たない
自分が何をしたいのかが分からない
何が感動で何が悦ばしいのか、わたしには分からなかった
いつも会衆の“模範的”な人たちの反応を待っていた
それがわたしの支えだったから
それでわたしは自分を計っていたから
エホバに喜ばれることを追い求めなければいけない
組織と同じ速度で“前進”していなければならない
半年後に巡回監督に評価されなければならない
エホバを喜ばせることとは長老たちに認められること
長老たちに認められることが親に上機嫌になってもらえること
わたしはいつも親に上機嫌でいてもらおうと一生懸命だった
「今日は(ものみの塔の研究記事ではなく)別の資料をやろう」
父がそのように言うとき、食卓は重苦しくなった
“家族研究”という名の責め苦が始まろうとしていたからだった
開拓奉仕の申込書を受け取ったとき親は満面笑みを浮かべた
わたしは“嬉しかった”、いいえそう演技していたの
書き込んでゆくときにわたしはひとりでなみだを流した
演技だなんてあの時はこれっぽっちも思わなかった
より大きな自己犠牲の前の緊張だと自分に言った
今だから演技だったって言える
開拓奉仕がしたかったんじゃない、親に、会衆に受け入れてほしかったの
自分に自信を持つ唯一の方法だったから
わたしがしっかりしているためには、親そして会衆に認められていなければならないから
壊れてゆく、崩れてゆく、大きな音をたてて
まるで氷山が崩れるときのよう
人間という容量には限界があったの
依存と分離不安、メランコリー親和型パーソナリティー
科学がわたしに救いの手を差し伸べてくれた、精神科学が
ただ鏡で自分のありのままの姿を見せられるのはつらかった、今まででいちばん
でもエホバに熱心だった頃から漠然と思っていたことがはっきり見えただけ
ひと暴れしたら気持ちは静かになった、嘔吐してしまった後のように
壁に投げつけた文庫本は大きくしわが入っていた
親とものみの塔協会がわたしに取って代わってわたしの人生を動かしていたの
親が飛び込んできたとき、部屋はまるで台風が吹き荒れたよう
母はまるで蛇蝎ののたうつのを見たかのように、忌まわしいものを見る目でわたしを眺めた
とりあえず今わたしがいちばんしたいこと、それをまずやろう
わたしの意思でわたしはわたしの人生を歩む
さようならものみの塔、さようならわたしの姿をしたお人形さん
わたしには大きな傷がある、精神的障害者と言っていいだろう
たくさん失敗をするだろうし、目標に達するまで紆余曲折もあるだろう
でも二度と自分に閉じこもったりはしない、自分の障害に甘えたりはしない、
そう自分に、かつて植え込まれ、今でもわたしにまとわりつく
エホバの証人という自分には決して負けるまい、いや負けてはならない
他の人に、また自分に関わる事情に敗北するのはしょうがない、
ただエホバの証人人格という人工的妖怪には決して負けてはならない
組織に評価されなければ人には値打ちがないって、そう思わされていた
言葉じゃない、言外のメッセージがわたしたちをそのように動かしていた
わたしは自分という実体を持たない
自分が何をしたいのかが分からない
何が感動で何が悦ばしいのか、わたしには分からなかった
いつも会衆の“模範的”な人たちの反応を待っていた
それがわたしの支えだったから
それでわたしは自分を計っていたから
エホバに喜ばれることを追い求めなければいけない
組織と同じ速度で“前進”していなければならない
半年後に巡回監督に評価されなければならない
エホバを喜ばせることとは長老たちに認められること
長老たちに認められることが親に上機嫌になってもらえること
わたしはいつも親に上機嫌でいてもらおうと一生懸命だった
「今日は(ものみの塔の研究記事ではなく)別の資料をやろう」
父がそのように言うとき、食卓は重苦しくなった
“家族研究”という名の責め苦が始まろうとしていたからだった
開拓奉仕の申込書を受け取ったとき親は満面笑みを浮かべた
わたしは“嬉しかった”、いいえそう演技していたの
書き込んでゆくときにわたしはひとりでなみだを流した
演技だなんてあの時はこれっぽっちも思わなかった
より大きな自己犠牲の前の緊張だと自分に言った
今だから演技だったって言える
開拓奉仕がしたかったんじゃない、親に、会衆に受け入れてほしかったの
自分に自信を持つ唯一の方法だったから
わたしがしっかりしているためには、親そして会衆に認められていなければならないから
壊れてゆく、崩れてゆく、大きな音をたてて
まるで氷山が崩れるときのよう
人間という容量には限界があったの
依存と分離不安、メランコリー親和型パーソナリティー
科学がわたしに救いの手を差し伸べてくれた、精神科学が
ただ鏡で自分のありのままの姿を見せられるのはつらかった、今まででいちばん
でもエホバに熱心だった頃から漠然と思っていたことがはっきり見えただけ
ひと暴れしたら気持ちは静かになった、嘔吐してしまった後のように
壁に投げつけた文庫本は大きくしわが入っていた
親とものみの塔協会がわたしに取って代わってわたしの人生を動かしていたの
親が飛び込んできたとき、部屋はまるで台風が吹き荒れたよう
母はまるで蛇蝎ののたうつのを見たかのように、忌まわしいものを見る目でわたしを眺めた
とりあえず今わたしがいちばんしたいこと、それをまずやろう
わたしの意思でわたしはわたしの人生を歩む
さようならものみの塔、さようならわたしの姿をしたお人形さん
わたしには大きな傷がある、精神的障害者と言っていいだろう
たくさん失敗をするだろうし、目標に達するまで紆余曲折もあるだろう
でも二度と自分に閉じこもったりはしない、自分の障害に甘えたりはしない、
そう自分に、かつて植え込まれ、今でもわたしにまとわりつく
エホバの証人という自分には決して負けるまい、いや負けてはならない
他の人に、また自分に関わる事情に敗北するのはしょうがない、
ただエホバの証人人格という人工的妖怪には決して負けてはならない