例えば宗教をタバコや酒と同一視する方法で宗教を見つめ直すという考え方もあります。

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Q:あなたにとって宗教とはどういうものですか?

A:酒、タバコ、読書と同じ物でしょう。

Q:酒、タバコ・・・・ですか?

A:酒、タバコ、本、どれも個人が消費するものです。宗教も、他人の迷惑にならない限りどうぞご自由に、と言うことになるでしょう。

Q:特にタバコは、やらない人にとって迷惑ですよね。健康にも悪いし。

A:本人が好きでタバコを吸って健康を害するのは本人の自由です。宗教もそれと同じ事。他人や社会に迷惑をかけない限り自由にやってもらえばいいことで、それが信教の自由です。勝手にしろということです。

Q:国家が宗教に口を出してはいけない・・・・

A:成人にタバコを吸うなとか、吸うならどのタバコにしろとか、国家が言えないのと同じです

Q:でも実際には、変な宗教があって社会に迷惑をかけていますよね。麻薬入りのタバコは禁止しなければならないし、犯罪に走るような宗教も禁止べきではありませんか?

A:犯罪行為をきちんと処罰すればいいのです。宗教だからといって特別扱いする必要はまったくありません。しかし宗教そのものを禁止することはできないでしょう。大体、禁酒法や禁煙法をつくるとろくなことにはなりません。マフィア、暴力団にビジネスチャンスを作るだけです。宗教もそうで、迫害や弾圧があればかえって抵抗力をつけて強くなります。下手な宗教弾圧は宗教育成になる。

Q:で、あなたは人に宗教をすすめますか。

A:酒もタバコも宗教も人にすすめません。好きな人がやればいいことですから。

Q:でも、宗教だって何かいいこと、ためになることがあるのではありませんか?

A:やっている人はそう思うでしょう。酒も、好きな人にとっては「百薬の長」です。タバコも「ストレス解消」になります。読書もやり方次第では役に立ちます。ちなみに読書をやっていれば、宗教についても読むことになります。読んでみると宗教も面白いものです。

Q:読書としての宗教ですね。でも、やっているうちに宗教にはまってしまう危険はありませんか?

A:頭のトレーニングをして「脳力」をつけておけば大丈夫でしょう。宗教を読むのは童話や怪談その他のフィクションを読むのと同じです。神のコマーシャル」やお説教が多すぎるのは興ざめですが。

Q:それで、もとに戻りますが、結局のところ宗教とは何でしょうか。

A:サービス産業の一つでしょう。そうでない宗教は「嫌煙権」ならぬ「嫌神権」や「嫌宗権」を言いたてられてやっていけなくなります。

Q:サービス産業としての宗教はこれからも有望でしょうか。

A:残念ながら日本では衰退産業の一つでしょう。新人類以降の日本人の変わり方を観察すると、そういう結論になります。個人が消費したいものは他にいくらでもありますから、宗教サービスや宗教グッズに特別の魅力があるとも思えません。今後需要が大いに増えるようなことはなさそうです。

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このように宗教から完全に離れて客観的に宗教を見れる視点が欲しいものです。

この文章を書いた人は竹内靖雄と言い、1935年に高知県に生まれ、1956年に東大経済学部を卒業した、成蹊大学経済学部の教授です。

あなたも自分の脳味噌に「脳力」をつけるために、竹内靖雄氏の書いた「脱 宗教のすすめ」という本を読んでみてはいかがでしょうか?

<脱>宗教のすすめ 竹内 靖雄 (著)

PHP新書 価格:\720 ISBN4-569-60918-X

第1章 市場社会の宗教 ― 宗教はサービス産業である
第2章 宗教に対する需要はどこからくるか
第3章 宗教はなぜ死後の存在を説くか
第4章 人間は「神」をつくる動物である
第5章 一神教の謎 ― 神は独占をめざす
第6章 もっとも恐ろしい宗教 ― キリスト教の犯罪歴
第7章 宗教と迷信―脳は迷信的に思考する
第8章 詐欺と宗教の免疫学 ― 信じるものはだまされる
第9章 宗教をめぐるトラブル ― 宗教の犯罪学
第10章 どんな宗教が生き残るか ― 宗教は衰退産業である
付録 宗教に関するテスト

【本文より】

父:神様がこの宇宙も人間も動物も、全部おつくりになったんだよ。

子:では神様は誰がつくったの? 他の神様がつくったの? 神様のお父さんとお母さんがつくったの?

父:いや神様は何人もいない。一人しかいない。

子:じゃぁその神様は誰が作ったの?

父:・・・・・遅くなるからもう寝なさい。

この問題は、寝ないで一晩語り明かしたところで結論が出るようなものではない。要するにこれは「万物の創造者の創造者は?」という問題である。答えはいく通りか用意できる。

(1) 神は「つくるもの」であるから「つくられる万物」には含まれない。神は自分以外の万物をつくるのである。したがって、神はつくられたものではない。つまり、無限の昔から神はいたことになる。

(2) (1)の最後の点だけ修正する。神はある時無から出現した、と考える。

(3) 万物の中には神も含まれる。したがって、神はある時から存在しはじめた、ということになる。

これを宇宙の創造、宇宙の始まりについて考えるとどうなるだろうか・・・・

T:この宇宙や世界を想像したものがいるはずです。それは神以外にはありません。

A:あなたは、何かあればそれは誰かがつくったものだと考える。宇宙でも太陽系でも、誰かがつくったと考えなければ気が済まない。珍しい考え方です。子供の時からそうなんですか?

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