さて、私はサンディさんの家族の一員になりましたから、サンディさんの家のルールに従わなくてはなりません。でも、私はいたずら小僧でしたから、サンディさんの奥さんに怒られるような事をいっぱいするわけです。しかし、私を怒ろうにもサンディさんの奥さんにとって私は他人の子ですから直接怒るわけにもいきません。必ず母親に文句を言います。そうなると母親は当時の日本人の子供の受ける罰を私に与えます。つまり、私のパンツを下ろして手でお尻を何回も叩くわけです。そして当時はどの子も悪い事をするとそうやってお尻を叩かれていましたから、私もそれが当たりの事と思っていました。
しかしそれを見たサンディさんの奥さんは納得しません。ぴしゃぴしゃお尻を叩いている音を聞きつけて、何事かと女中部屋を覗いて、私が母親にお尻を叩かれているのを見たとたん、ものすごい大声で、「ユー! バーバリアン!」(お前は野蛮人だ!)と母親を怒鳴りつけました。
そうしたら、いきなりその場でサンディさんの奥さんと私の母親との口論が始まってしまい、私はおもわず「助かったー」と思ったのですが、後で母親に口論の理由を聞いたところ、文明国では手で直接子供を叩くのは野蛮人の行為で絶対に良くない。子供に罰を与えるときは、椅子に長時間座らせて本人の反省を促すか、ムチでお尻を叩くのが、野蛮人ではないまともな人間がするべき正しい子供への罰の与え方だ。と言われたと悔し泣きしながら話してくれました。
そして、この一件で母親は完全に開き直ってしまい、私が罰を受ける時もサンディさんの家のルールに従うと決めます。この決定に母親は私の同意を求めて来ましたが、サンディさんの奥さんの怒り方は実にさっぱりしていて、3人の子供達を怒った後は、子供達は怒られるという義務を果たしたからもう関係ないって感じで、怒り終わった後はさっぱりしていていつまでもねちねちしません。
対して母親はいかにも日本人的な怒り方で、怒られた後に私が長時間反省している態度を取っていないと、何も反省していないのかとさらに怒り出す典型的な日本人の怒り方をする人でしたので、同じ怒られるならさっぱりしたアメリカ式の怒られ方の方がいいやと思って、私はすぐに同意しました。
そして私が同意したので、母親に通訳してもらいながら、サンディさんの奥さんにサンディ家での罰のルールの説明を説明してもらったところ、サンディ家の罰は基本的に3回リセット方式で、家のルールに違反した場合、
警告→警告→無言の正座1時間か無言の椅子2時間の選択、
警告→警告→無言の正座1時間か無言の椅子2時間の選択、
警告→警告→ムチ10発の後、無言の正座1時間か無言の
椅子2時間の選択、
警告→警告→無言の正座1時間か無言の椅子2時間の選択、
警告→警告→無言の正座1時間か無言の椅子2時間の選択、
警告→警告→ムチ20発の後、無言の正座1時間か無言の
椅子2時間の選択、
警告→警告→無言の正座1時間か無言の椅子2時間の選択、
警告→警告→無言の正座1時間か無言の椅子2時間の選択、
警告→警告→ムチ30発の後、無言の正座1時間か無言の
椅子2時間の選択、
こういう感じでムチが増えていきます。
私は今までこういう罰のしかたなんか一度も聞いたことがありませんでしたし、それがサンディさんの家だけのオリジナルの罰なら絶対に納得出来ませんから、疑問に思って、朝になると、近所のスクールバスのバス停何ヶ所かに行って、バスが来るのを待っている非JW家庭の子供達に片っ端から聞きまくった所、黒人や、カラード(スペイン系など)の家ではムチをしませんが、白人のWASPの家だけは全員ムチでした。そしてWASPの白人の子供達が言うには、ムチの回数が増えていくのはとても厳しい家庭だと言っていましたが、警告、無言、ムチと言う決められたルールで罰を受けるのはどのWASP家庭でも同じやりかたでした。
そして、沈黙の正座1時間か、沈黙したまま椅子に2時間座っているかのどちらかの選択なんですが、正座1時間って言うのは立川基地独特のものらしく、本土では椅子で1時間が相場だそうです。
日本の子供と違ってアメリカ人の子供達はものすごくお喋りですから、1時間黙っているというのはかなりの苦痛を感じる罰です。そして椅子か正座かどちらかを選択したら、途中からのチェンジは絶対に駄目です。これは子供に契約という概念を植え付ける訓練も兼ねているので、一度やると約束したら必ずやらなければならないという考え方を教える目的も兼ねています。(軍人の考え方)
私も無言の正座1時間だと足が痺れるから、一度だけ無言の椅子2時間を選択したことがあるんですが、これもしんどい。1時間の正座を選択した子供達が罰が終わって遊んでいる中、私だけさらに1時間沈黙していなくてはなりません。だからとにかく退屈で退屈で仕方がなくて、これなら正座1時間のほうがまだましだと思って、それからは正座1時間ばかり選択していました。