あの映画はハロウィンをしたくても出来ないかわいそうなJW2世の子供って設定でしたが、実際はハロウィンの時にはカボチャをおもちゃにして別な物を作って遊んでいました。ちなみに私がカボチャと爪楊枝で馬を作って、デービット、スティービー、スーザンの3人に作り方を教えていたら、「それはお盆の時にする偶像崇拝だから縁起でもない事をするな」と母親に怒られてしまい、それ以来私だけがカボチャで遊ぶのが禁止になってしまい、3人がカボチャで動物とか作っているのを見てうらやましく思って見てました。

つーことは俺は日本のフィリップス君かい!

しかし、そもそも当時の私にはハロウィンとは何なのか全然意味がわかっていませんでしたし、「アメリカのお盆だよ」って説明されても、日本のお盆の意味も全然わかっていませんでしたから、「僕は日本人だからアメリカ人みたいに食べ物を粗末にしちゃいけないからハロウィンは禁止なんだな」って納得していました。

米軍基地の外の伝道にも参加したことがありますが、立川基地周辺は数年前に創価学会が釈伏運動(伝道)をした後で、信仰を断るといきなり玄関をけっ飛ばして「地獄に堕ちろこの糞婆ぁ!」とか言われた人がほとんどで、宗教に対する住民感情は最悪で、伝道する時は、自分たちは創価学会ではなくキリスト教徒だって説明から話し始めなくてはならない時代で、断られてから伝道が始まる猛烈営業マンみたいな伝道をしていた時代でした。

私はそういう猛烈営業の伝道しか知りませんから、伝道とはそういうもので、それが当たり前と思っていたのですが、サンディさんの奥さんに付いていって伝道するのを見ていたら、日本と全く同じスタイルの地図カードを持って、サンディさんの奥さんドアノック→挨拶する→ものみの塔と目ざめよ見せて説明開始→10秒で拒否される→あっさり引いてグットバイ。という伝道で、ずっとそのパターンの伝道が続きます。

まるで、私は伝道をすると言う義務は果たしたからもう関係ない。と言うような気合いの入らない伝道のしかたで、子供の私は全然納得出来なくなっちゃって「サンディさんの奥さん、それじゃあまりにもあっけなさ過ぎませんか?そこから伝道が始まるんじゃないですか。嫌がられてもなんとか興味を持たせて再訪問につなげるべきじゃないんですか?」と言う意味を単語とジェスチャー使って伝えたんだけど(子供同士では英語でコミュニケーション取れるけど大人との会話は絶対無理)サンディさんの奥さんはあれでいいんだとか言うし、当時の私には全然納得出来ない伝道をやっていました。

母親も立川基地での英語伝道の要領がわかったので、私に英語で伝道するセリフを暗記させて伝道しましたが、母親も勝手が違うようで、日本人相手ならいつもやっているように、まず私をダシにして最初に私に証言させて、相手が好意を持ったところでバトンタッチして研究引きずり込むっていう、いつものパターンが使えず、かなりカリカリきているようでした。

当時の私は、ものみの塔誌の販売促進用のマネキンでしたから、ややこしそうな所にはまず私を突撃させて最初の説明をさせて、相手が好意を持ってくれた時にタイミング良く母親と交代するという、木曜日の奉仕会の指導通りの親子伝道をしていましたが、さすがに米軍立川基地では日本式の突撃伝道は無理のようでした。

結局私は全然伝道の役に立たないと言うことで、私は親についていくだけで、「楽だー楽だー、こんなに楽していいんだろうか?」っていうらくちん伝道を楽しんでいました。これが日本側だったらそうは行きません、伝道していて教会やお寺にぶつかると突撃するのはたいてい私の役目で、子供が牧師や僧侶に聖書を説くなんてしんどい事をしょっちゅうやらされていましたので、こんなに楽ならずーっと立川基地に住んでいたいと思っていました。

で、そうやって生活しているうちに累積があがりムチとなります。原因は5時の門限に遅刻したのと、集会中にじっとしていられないかったのと、伝道中にしゃがみ込んで草花と遊んでいたことにより累積がかさんで10回のムチになります。

幼稚園の子供が草花と遊んでいて何が悪いんだって思うでしょ。でもこれは、JWの家に生まれた子供にとってものすごく悪いことなんですよ。理由なんか知りません。幼稚園児に理解できるわけがないじゃないですか。とにかく伝道中は伝道以外の事をしちゃいけないんです。親が悪いことだって言ったら、それは神の言葉と同じですから、私が納得しようがしまいが悪いことなんです。私が納得したって言うまで母親のお説教は無限に続くんだから、とにかく悪い事なんですよ。こういうのはあーもうーも無く、エホバの証人の家に生まれた子供の宿命なんです。

で、このムチの直接原因は門限破りです、例によって長男のデービットに引きずられて門限を15分破ってしまい5時15分ご帰還で、4人とも真っ青になっていました。サンディさんの奥さんはルールで怒る人ですから、反省のポーズを取ろうが泣こうがわめこうが絶対に許してくれません、夕食後30分にムチと宣言されて、その日の夕食のまずかったこと、あんなに味のわからなかった食事は初めてでした、砂を食べているとしか思えませんでした(苦笑)

夕食後30分に夫婦の寝室に集合です。子供4人、旦那さん奥さん母親の7人が12畳位の寝室に集合して、デービット、スティービー、私、スーザンの順に叩かれます。私は始めてだから10発です。2人が20発ずつ終わって私の番になり、奥さんは母親にウェストベルトを渡して叩けと言うが、母親はやり方がよくわからないからと言って卑怯にも土壇場で逃げます。


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