土曜日、

ついに私も叩かれる日が来ます。当時私は野球が大好きで、とにかくグローブとボールを持っているだけも嬉しくなるくらいの大の野球好きで、将来はプロ野球選手になるのが夢でした。しかし土曜日は放課後まっすぐに家に帰らなくてはなりません。12時頃に学校の授業が終わるんですが、午後2時には伝道に出発です。遊べる時間はわずか1時間。これじゃ野球しても後半の一番美味しいところで帰らなくてはならないので、かえってやるだけ辛くなるんですが、それでもとにかく大好きな野球でしたから、やれるだけ参加していました。

ところがこの日は特にゲームが面白くて、家に帰るのを30分遅刻してしまいました。母親はとっくに伝道に出発して私をはおいてきぼりです。真っ青になりましたが、逃げる場所なんかどこにもないので、母子寮の部屋の隅で2時間近く正座して小さくなって待っていました。

すると母親が鬼のような形相で帰ってきまして、まずお説教、次に聖書を元に長時間のお説教です。そしてムチとなるんですが、私はそのムチに納得できません。それは我が家ではサンディ家を離れてもサンデイ家の罰を応用した変則的なルールを適用していましたので、そのルールで私は罰を受けることになっているからです。

伝道に出発するまでに家に帰って来なかったのはこれが2度目でした。前回遅れた時はお説教でした。我が家のルールでは、初めての場合はお説教、また同じ事をした場合は1時間の正座、3回目に同じ事をした時に、お尻を手で叩かれるのが基本ルールでしたので、今回は2度目のミスなので1時間の正座のはずです。そう思って私は母親が帰ってくるまでに2時間近く正座をして反省していました。そして今までの母親であればその誠意を認めてくれて、お説教だけで解放してくれるはずでした。しかしJW組織の教理の変更のおかげでいきなり我が家の罰のルールが変わりました。

それでは納得出来ないと異議を申し立てたのですが、聖書をベースに私が根負けするまで理詰めで追いつめる母親の議論に私が勝てるはずもなく、そのうち母親はヒステリーを起こし始めたので、私は全然納得していませんでしたが、あきらめて運命を受け入れることにしました。そして今回は初めてだからムチは10発にまけてやるとのことで、サンディさんの家で20発のムチを経験していますので、それじゃぁ楽勝だからいいかなとあきらめて椅子にもたれかかりました。

すると母親はパンツを下げろと言います。もうすぐ小学校2年生になろうとしている私にも人並みに羞恥心というものが芽生えて来ていますので拒否したところ、また聖書をベースにお説教です。あきらめてパンツを下げましたが、その情けない自分の姿勢に羞恥心が爆発。自分の心に深い傷を負うことになります。

そして、この日のムチですが、最初は男物の細いベルトを母子寮の寮母さんから借りてきて2回叩き、うまく力が入らないからと、途中で足踏み式ミシンの皮ベルト(直径1センチの円断面)で8回叩かれました。ところが、この生尻に打つ足踏み式ミシンのムチはサンディ家で体験したJW組織指定の女性用ウェストベルトのムチに比べて痛さが数段違います。

しかし、お尻の痛みより心の痛みの方が大きくて、くやし涙がたくさん出てきました。サンディさんの奥さんは子供の人権を認めてくれる人でしたので、子供の異議に筋が通っていればちゃんと認めてくれるし、自分が間違った事をした場合は自分から先にちゃんと子供に謝る人でした。ですから罰を受けても私は完全に納得していましたので、サンディ家でムチで叩かれても私の心が傷つくことは一切ありませんでした。

サンディ家では、私と母親とサンディさんと奥さんの4人が話し合って罰のルールを決めたので、私の希望が通るのは制限付きとは言え、一応は私の意志を尊重してくれたアメリカ式の民主的な罰の決め方に完全に納得できましたので、私がその契約を破った場合は罰を受けるのは当然と理解していましたが、今回のムチは私の承諾無しに一方的に罰のルールを変更して、先に判決が出ている一方的なものです。

私は、絶対に逃げられない環境に生活している刑務所の囚人がミスを犯し、それを見とがめた看守に、突然方針を変えたルールで暴行されているような気分になりました。そのうえパンツを下げているので、椅子越しにおちんちんの見える自分の情けない姿勢にも涙が出てきました。

そして叩きながら「力がうまく入らない」などと言って、数発おきにムチの感想を聞いて、私を実験台にして後で会衆内の母親姉妹達にムチのやりかたを教える目的が見え見えでしたので、私へのムチのチャンスを待っていた母親の不純な動機にまた怒りがわき、2時間近くの自主的反省による正座+10発の絶対に納得できない不純な動機のムチにより、JW組織の言う子供の心からサタンを追い出すというムチの目的は完全に逆効果で、ムチは私の心の中に完全にサタンを呼び込んだのでした。

しかし母親はそんな子供の心の状態なんか気にするわけもなく、元々の性格として、自分の感情が一番大事なB型の人ですから、そんな子供の心の事情は些事に過ぎず、子供の感情なんか気にするような繊細さは最初から持っていません。(私はA型) 自分だけ大興奮状態で、ムチのコツがわかった後半は鬼のような形相で私を叩きます。

それまで私はJWを辞めたいなんて事は一度も考えたことが無かったんですが、この瞬間から、チャンスがあったら何がなんでもJWをやめてやると思うようになりました。


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