【1975年10月のハルマゲドン到来】

この頃は暴走族に入ってみたり、麻薬やったり、万引きやったり、シンナー吸いまくりで、とにかくJWで禁止されていたことは、意地になって全部やっいてた時代でした。17歳で初体験したのもこの頃で、「まだまだやりたい事はいっぱいあるけれど、自分の稼ぎで出来る範囲でやるだけ全部遊んだから、これでハルマゲドンで滅ぼされても、まぁ自分としては悔いは無いな」なんて思っていました。

そして覚悟していた死刑執行の日、私は18歳2ヶ月、1975年10月のハルマゲドンの日が来ます。

・・・・・・が、何も起こらない。何故だ?何故なんだぁぁぁ???

私は、これはきっとエホバ神の都合でハルマゲドンがちょっとだけ延期になったんだろうと思いました。しかしそれまで私は自分の人生の先行きについて、何も考えてなかったので、組織のハルマゲドン予言がはずれた場合を考えて、ちょっとだけ真面目になろうと決心しました。

と真面目に思った割に行動は矛盾していて、相変わらず毎日キャバレーのボーイをやっていましたけどね。

このころ、水商売の底辺で生きる人たちといっぱい友達になりまして。「自分は、母親とJWのせいで最低な人生にさせられたって思っていたけど、俺なんか全然たいしたことないじゃん。」って目を覚まされた時代でもありました。

例えば、実の父親に犯されて家出したら、後で妊娠していたのがわかって出産。その子を育てるためにホステスしている人とか、何一つ苦労なしで育ったので人を疑うことを知らなくて、ダニみたいな男に食いつかれて、破産しても絶対に逃げれない暴力団金融から絶対に全額返済できない借金を背負わされたホステスさんとか、(コケコッコって金融商品知ってますか?10日で1割の利息を払うトイチってのがあるけど、コケコッコは1日1割の利息です。)子供の頃家が貧乏すぎて米を食べたことがなくて、毎日うどんしか食べれない状態で育ったので、若いのに体がボロボロで、うどんを見ると吐き気がして絶対に食べれないボーイとか、不幸な人生の展覧会みたいな人間が集まった世界でした。

そういう不幸な人生の展覧会みたいな世界に住んでいると「背広着てネクタイしめて、それなりにきれいな服を着せられて育って、ちゃんと3食食べさせてもらってきたんだから、俺なんか全然幸せだったんじゃん」って思えて来るもので、JWと母親のせいで自分は不幸になったと言う幼児的な感情反発が消えていきました。

でも、底辺の世界はやっぱり最低な人間な奴らの集まりでもあるので、その、どろどろした、友情より利害関係だけで付き合う、すさんだ人間関係に嫌気がさして、今度こそ、いつか堅気になろうと決めたのでした。(堅気になって駄目なら、また水商売の世界に戻ってくりゃいいやとも考えていましたけどね)

ちょうどそのころ、店のナンバー2に手を出したのが店長にばれてキャバレーを首になります。(水商売の世界では「商品には手を出すな」が黒服の掟)

いいきっかけだから堅気になる決心をしまして、新聞広告を見てシロアリ退治の会社に入ります。仕事が楽なのに給料が良くて、社員もいい人が多かったし、長くいるなら車の免許を只で取らせてやるよと言ってくれるいい社長さんだったんですが、完全に向上心モードに入っていた私は、当時のヘタレな自分がとにかく大嫌いで、情けない自分の性格に我慢がならず、自分を変えるためには尋常な手段では無理と判断、自分を鍛え直す目的で海上自衛隊に入隊します。JWのハルマゲドン予言が外れてからちょうど1年後、19歳2ヶ月の時でした。

【海上自衛隊入隊】

海上自衛隊に入隊するために隊門をくぐったとたん、私はいきなり後悔しちゃって「しまった!俺はとんでもない間違った選択をしてしまった!自分から刑務所へ入るという最悪の選択をしてしまった!」って思ったんですがもう完全に遅くて、最初はただひたすら「俺を馬鹿にしてきた親戚連中に対して、俺がまともに顔向け出来るようになるまで3年間だけ辛抱しよう」と思って我慢し続けました。(結局、この動機だけで3年続けました)

(画像)
海上自衛隊、横須賀教育隊に入隊して1週間目二等海士19歳2ヶ月

入隊式が終わった直後なので、髪の毛を切って制服を着ただけです。海上自衛隊では入隊式が終わるまではお客さん扱いなのでまだろくに訓練を受けていません。この日、国に対して公式に宣誓したので、これからの3年間は国防が義務となり、明日から地獄の日々が始まります。

入隊式での宣誓文

自衛隊法施行規則第3章第3節第39条

隊員となった者は、次の宣誓文を記載した宣誓書に署名押印して服務の宣誓を行わなければならない。

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宣誓
私は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身をきたえ、技能をみがき、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託にこたえることを誓います。
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「おいっ!そんな話は入隊前に聞いてないぞ!
それはいざとなったら俺に死ねって事か!!!
そんな大事な話は入隊前に教えろよ!
それを先に知ってりゃ俺は自衛隊になんか入らなかったぞ!
くそーっ!地連(自衛隊地方連絡事務所)にだまされたーっ!」

自衛隊法第5章第4節服務

第56条 隊員は、法令に従い、誠実にその職務を遂行するものとし、職務上の危険若しくは責任を回避し、又は上官の許可を受けないで職務を離れてはならない。

第57条 隊員は、その職務の遂行に当っては、上官の職務上の命令に忠実に従わなければならない。

「いざとなったら逃げちゃ駄目、上官の命令に逆らっちゃ駄目って・・・
しまった!ここは日本海軍だったのか!!!」入隊式で宣誓した以上
もはや手遅れ・・・


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