【 <脱> 宗教のすすめ】
JW信者を経験していると、人間は宗教を持つのが当たり前で、宗教を持たな い状態は不完全な状態と思うようになり、JWを辞めた後で宗教を持たない自分 は「おかしい」と思うようになります。
そして今まで「世の中で一番正しい宗教がJWである」と教わった影響で、 JWを離れると「世の中には本当に正しい宗教があるはずで、JWを離れた 今、自分は世の中で一番正しい宗教を探さなくてはならない」という義務感 に捕らわれます。
そう思ってるあなた。完璧にJWにマインドコントロールされてますよ。
世の中に正しい宗教なんか一つもありません。あるのは自分の宗教が一番正し いと信じてる人がいるだけです。100人の信仰者がいて、100の宗教があ れば、100の宗教全部が正しいのです。
それは何故か? それは宗教とは一種のサービス産業だからです。
JWを離れてから、「宗教とは何か」を調べる場合には、あるいは「一番正し い宗教とは何か」を調べる場合は宗教に何らかの形で入門しなくてはなりませ ん。しかし宗教を調べるのに何らかの宗教教団に入信する事はお勧めできません。それじゃぁただの宗教の乗り換えです。
JWの教理が正しいのか間違っているのかを検証する場合、聖書の専門家達か ら改竄聖書と批判されている、ものみの塔聖書冊子協会が発行している「新世 界訳聖書」が正しく翻訳されているのかどうか、ギリシャ語とヘブライ語をマ スターして、聖書の原本である写本から詳細に検証する方法があります。しかしこの方法は万人向きではありません。語学のマスターには得手不得手があり ますから、そんなことに興味のない人にいくらやれと言ったって絶対にやりません。
ギリシャ語とヘブライ語を完璧にマスター出来たとして、JWの教理の検証作 業以外に使えるのは、ギリシャとイスラエルに観光旅行をした時だけでしょう。 そんな暇があったら英単語の一つでも覚えた方が後々自分の役に立ちます。
また、聖書や仏典を読んで、さらには宗教学の専門書を読んでJWの教理を詳 細に調べ直すというやり方もありますが、このやり方も全ての人にはお勧めできません。何故ならそのやり方は、商売のコツを知りたい人に、カール・マル クスの『資本論』や、ケインズの『一般理論』や、経済学者の研究論文を読めと言うようなものです。
このやり方だと、読めば読むほど、知れば知るほど迷宮に入ること間違いなし です。
その他には、宗教とは何かを知ろうとした場合に、一度宗教から離れて客観的に宗教を見直すという方法があります。つまり宗教からいったん卒業して、人間にとって宗教とは何か、なぜ人は宗教を欲しがるのかと考え、それを自分に当てはめて自分なりの答えを見つけてから、自分を見つめ直し、自分が本当に宗教を必要とする人なら、自分に合った宗教を探して、それから正式に入信す るという方法です。これならだまされるリスクは少ないでしょう
人間には宗教を必要とする人種と必要としない人種がいます。必要としない人 種でも、それは今現在宗教を必要としないだけで、死ぬ間際になったら神や仏 にすがりたくなるかもしれません。そういうふうに自分の気持ちを流動的に考 え、今はとりあえず宗教から離れて、自分は本当に宗教を必要としている人種 なのかを客観的に見つめ直してはいかがでしょうか?
宗教とは「教祖」と「教理」と「信者」の3者がいて初めて成立します。「信 者」が一人もいなくて「教祖」と「教理」しか無ければ、それはただの頭のお かしい人の主張にしかすぎません。つまり宗教とは「信者」というお客さんが いて初めて成立する商売なわけです。
なので宗教を「信者」というお客さんがいて成立する一種のサービス産業と位 置づけ、宗教の利益関係者である宗教業界や宗教学会とも縁のない第3者、つ まり宗教を観察している消費者の立場で宗教をどう考えるかが大事になります。
例えば宗教をタバコや酒と同一視する方法で宗教を見つめ直すという考え方も あります。
Q:あなたにとって宗教とはどういうものですか?
A:酒、タバコ、読書と同じ物でしょう。
Q:酒、タバコ・・・・ですか?
A:酒、タバコ、本、どれも個人が消費するものです。宗教も、他人の迷惑にならない限りどうぞご自由に、と言うことになるでしょう。
Q:特にタバコは、やらない人にとって迷惑ですよね。健康にも悪いし。
A:本人が好きでタバコを吸って健康を害するのは本人の自由です。宗教もそれと同じ事。他人や社会に迷惑をかけない限り自由にやってもらえばいいことで、それが信教の自由です。勝手にしろということです。
Q:国家が宗教に口を出してはいけない・・・・
A:成人にタバコを吸うなとか、吸うならどのタバコにしろとか、国家が言えないのと同じです
Q:でも実際には、変な宗教があって社会に迷惑をかけていますよね。麻薬入りのタバコは禁止しなければならないし、犯罪に走るような宗教も禁止すべきではありませんか?
A:犯罪行為をきちんと処罰すればいいのです。宗教だからといって特別扱いする必要はまったくありません。しかし宗教そのものを禁止することはできないでしょう。大体、禁酒法や禁煙法をつくるとろくなことにはなりません。マフィア、暴力団にビジネスチャンスを作るだけです。宗教もそうで、迫害や弾圧があればかえって抵抗力をつけて強くなります。下手な宗教弾圧は宗教育成になる。
Q:で、あなたは人に宗教をすすめますか。
A:酒もタバコも宗教も人にすすめません。好きな人がやればいいことですから。
Q:でも、宗教だって何かいいこと、ためになることがあるのではありませんか?
A:やっている人はそう思うでしょう。酒も、好きな人にとっては「百薬の長」です。タバコも「ストレス解消」になります。読書もやり方次第では役に立ちます。ちなみに読書をやっていれば、宗教についても読むことになります。読んでみると宗教も面白いものです。
Q:読書としての宗教ですね。でも、やっているうちに宗教にはまってしまう危険はありませんか?
A:頭のトレーニングをして「脳力」をつけておけば大丈夫でしょう。宗教を読むのは童話や怪談その他のフィクションを読むのと同じです。神のコマーシャル」やお説教が多すぎるのは興ざめですが。
Q:それで、もとに戻りますが、結局のところ宗教とは何でしょうか。
A:サービス産業の一つでしょう。そうでない宗教は「嫌煙権」ならぬ「嫌神権」や「嫌宗権」を言いたてられてやっていけなくなります。
Q:サービス産業としての宗教はこれからも有望でしょうか。
A:残念ながら日本では衰退産業の一つでしょう。新人類以降の日本人の変わり方を観察すると、そういう結論になります。個人が消費したいものは他にいくらでもありますから、宗教サービスや宗教グッズに特別の魅力があるとも思えません。今後需要が大いに増えるようなことはなさそうです。
このように宗教から完全に離れて客観的に宗教を見れる視点が欲しいものです。
この文章を書いた人は竹内靖雄と言い、1935年に高知県に生まれ、1956年に東大経済学部を卒業した、成蹊大学経済学部の教授です。
あなたも自分の脳味噌に「脳力」をつけるために、竹内靖雄氏の書いた「脱 宗教のすすめ」という本を読んでみてはいかがでしょうか?
<脱>宗教のすすめ 竹内 靖雄 (著)
PHP新書 価格:¥720 ISBN4-569-60918-X
第1章 市場社会の宗教 ― 宗教はサービス産業である
第2章 宗教に対する需要はどこからくるか
第3章 宗教はなぜ死後の存在を説くか
第4章 人間は「神」をつくる動物である
第5章 一神教の謎 ― 神は独占をめざす
第6章 もっとも恐ろしい宗教 ― キリスト教の犯罪歴
第7章 宗教と迷信―脳は迷信的に思考する
第8章 詐欺と宗教の免疫学 ― 信じるものはだまされる
第9章 宗教をめぐるトラブル ― 宗教の犯罪学
第10章 どんな宗教が生き残るか ― 宗教は衰退産業である
付録 宗教に関するテスト
【本文より】
父:神様がこの宇宙も人間も動物も、全部おつくりになったんだよ。
子:では神様は誰がつくったの? 他の神様がつくったの? 神様のお父さんとお母さんがつくったの?
父:いや神様は何人もいない。一人しかいない。
子:じゃぁその神様は誰が作ったの?
父:・・・・・遅くなるからもう寝なさい。
この問題は、寝ないで一晩語り明かしたところで結論が出るようなものではない。要するにこれは「万物の創造者の創造者は?」という問題である。答えはいく通りか用意できる。
@神は「つくるもの」であるから「つくられる万物」には含まれない。神は自分以外の万物をつくるのである。したがって、神はつくられたものではない。つまり、無限の昔から神はいたことになる。
A @の最後の点だけ修正する。神はある時無から出現した、と考える。
B万物の中には神も含まれる。したがって、神はある時から存在しはじめた、ということになる。
これを宇宙の創造、宇宙の始まりについて考えるとどうなるだろうか・・・・
T:この宇宙や世界を想像したものがいるはずです。それは神以外にはありません。
A:あなたは、何かあればそれは誰かがつくったものだと考える。宇宙でも太陽系でも、誰かがつくったと考えなければ気が済まない。珍しい考え方です。子供の時からそうなんですか?
このように理論的に宗教とは何かをわかりやすく解説している本です。一読すると目からウロコになること請け合いです。「詭弁論理学」を卒業した後は、この本を読んでみることをお勧めします。
「詭弁論理学」を読んで詭弁という人を騙すテクニックから目が覚めた人は次に「<脱> 宗教のすすめ」を読むと、今度は宗教から目が覚めますよ。
<脱> 宗教のすすめ 竹内 靖雄 (著)
PHP新書 価格:¥720 ISBN4-569-60918-X
amazonでの注文
内容:宗教は衰退産業であり、将来自然消滅する?? 徹底した市場主義の立場から資本主義社会における人間と宗教のあり方を論じた異色評論。
解説:宗教にトラブルがつきものなのはなぜか? 法律で取り締まる必要はあるか?
数多い宗教書のなかで、宗教にまったく関係のない人間が書いた著書は少ない。本書は、経済学者である著者が、消費者という視点から聖書やコーランを読み解いた異色の宗教論。徹底した市場主義の立場から、「宗教はサービス産業であり、かつ現代では衰退産業である」と捉え、現在の問題を見事に言い当て、そのあり方と対策を辛辣かつユーモラスに問う。
「宗教の需要はどこからくるか?」「どんな宗教が生き残るか?」「なぜ死後の世界を説くのか」「信じるものはだまされる」「人間は神をつくる動物である」「脳は迷信的に思考する」など、世界史における宗教の犯罪歴から、新興宗教のカラクリまで、赤裸々に宗教の姿を描き出す。
<反>ではなく<脱>宗教、つまり宗教を「卒業」するために、真実の宗教を学ぶための一冊。
各章をまとめたQ&Aや、「宗教に関するテスト」などユニークな試みも魅力。
出版元のPHP研究所の解説より
人類を救いたいという衝動は、たいていは支配したいという衝動を隠す表向きの看板である。 H・L・メンケン
宗教は、…民衆のアヘンである。…宗教は、人間が自分を中心に行動するようになるまでの間、人間のまわりを回る幻想上の太陽であるにすぎない。 カール・マルクス
2003/05/19